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2005/12/11

めぐりあう時間たち

めぐりあう時間たち
めぐりあう時間たち
  • スタジオ: 角川エンタテインメント
  • 価格: ¥ 2,500
  • 発売日: 2005/11/25

公式サイト

感動。かなり感動。かなりよかった。
3時代が交錯する映画、かなり凝ってそうだし重々しそうだし、
眠そうやな、と思いながらみてみたんだが、いやあ、杞憂だった。

3つの時代のたった一日が、交代で描かれていく。
「ダロウェイ夫人」を書き始めたころのヴァージニア・ウルフの一日、
平凡な主婦ローラの一日、そして編集者クラリッサの一日。
彼女達にとってその一日は人生の転機だった。
たった一日を丹念に描くだけで、彼女達のそれまでの人生が、
ぐっと私の胸に迫ってきた。正直きつかったし辛かった。

一番きつかったのがクラリッサ。エイズの詩人リチャードと
19歳のときから一緒にいる。彼は昔輝いていたが、
今はエイズでやせ細っている。その彼に「俺のために生きてるのか」と
言われ、彼女は動揺する。
彼女がどれだけ長い間リチャードに縛られていたか、
たった一日のエピソードで私にびしびしと伝わってきてしまって、
その哀しい愛情がすごく辛かった。
彼女が一番私をとらえたのは、彼女の苦悩が一番私にも
わかりやすいからかもしれない。誰かをずっと思い続けること。
私には彼女ほどの強さはないけれど。

一番わかりづらいのが主婦ローラで、彼女が何にそんなに焦燥してるのか
わからない。彼女は一見幸せそうで何の文句もないように見えるのに、
ずっと笑顔を見せながらも目が冷たくて、ずっと戸惑っている。
(それはジュリアン・ムーアの類稀ない演技力がみせてるんだけど)
幸せなはずの人生、しかしそこには自分の居場所はない。
私はここにいる人間ではない。そんな焦燥。絶望。
一番難しかったけど、最後に一番印象深かったのは彼女の人生だった。

そして鬱をわずらって病気療養中のヴァージニア・ウルフ。
彼女が何気にみせた涙で、彼女がどれだけ病気と孤独に苦しんでいるか、
それに気づいてはっとさせられた。狂気に取り込まれることの恐怖と、
彼女は常に戦っている。

そんな3人の一日が交錯し、私はそこに50数年の長い長い時間をみた。
原題は「The hours」である。その意味が観終わった後迫ってくる。

それを、非常に巧みな場面展開で鮮やかに見せてくれる。
脚本も見事、音楽も映像も美しく、俳優も超一流。
映画とはアートだ、と改めて感じさせてくれる秀作であったと思う。

ニコールキッドマンは最後まで彼女とは思えなかった。別人だ。
役に応じて完全に別人になりきれる彼女はすばらしいが、
私としてはメリル・ストリープが一番だったような気がする。
すごく自然だった分、一番共感できた。
それからエド・ハリスはすごかったなー。彼の姿だけで泣けるわ。
これだけの名優をぴったりの役で使い切ったってのは、また素晴らしいですね。

べた褒めやな。でも多分女性むけやろうな。

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