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2005/12/30

亡国のイージス

亡国のイージス
亡国のイージス
  • スタジオ: ジェネオン エンタテインメント
  • 価格: ¥ 3,112 (22% OFF)
  • 発売日: 2005/12/22
  • おすすめ度 2.83

「亡国のイージス」映画館でみてきました。
いやあ、予想はしてましたが、原作の早送りみたいな映画でした。

イージス艦隊「いそかぜ」が某国工作員と結託した副艦長により占拠され、
米国が作った液体兵器「GUSOH」が搭載されている。その照準が東京に向けられ、
副艦長は政府に要求をつきつける。
艦内には、任務により潜伏していた少年、如月がいたが、
船を守るという使命のもと艦内に舞い戻ってきた仙石先任伍長が動き出し・・・

いそかぜが占拠され、政府に要求をつきつける、そのいそかぜと政府との攻防、
の現在進行形に絞って描かれた映画、と言えると思う。
当然、いそかぜが占拠されるに至るまでの要因、各個人の思惑なんかが
渦巻いているはずなんだが、その説明は最小限まで割愛されている。
そういうポリシーで撮ったとしか思えない。だからなんつうか、
パニックアクション映画みたいな。不死身の仙石先任伍長と訓練されてやたらと
強い如月行がタッグを組み、船内で某国工作員の殺人兵器みたいな連中と
戦っていく。船内という狭い空間での戦い、海の中での戦闘、なんかは
かなり緊迫感があったし、見応えも多かった。
あと、イージス艦がかなりリアル。海上自衛隊全面協力は伊達じゃない。
セットがちゃちだったらこの臨場感は出せないんじゃないかなー

しかし、しかしだ。現在進行形で物語を進行しても、それは物語の一端にしか過ぎない。
自衛官であった宮津副艦長が何故、国を裏切るような行為に及んでしまったのか、
映画を見た人には「息子が殺されて、で、なんで?」くらいにしかわからないんじゃないか。
彼らの背景が断片的にしか描かれていない。

私は原作を数年前に読み、忘れた頃に映画を見た、という、
ストーリーの補足が出来るくらいには記憶を持ってるし、
でもほとんど忘れてるから新鮮に楽しめる、という一番いい位置にいたので、
まだついて行けたけど、隣で見ていた連れは「なんのこっちゃ」と言っていた。
如月行の経緯しかり、ヨンファと女工作員の経緯しかり、あとはダイスという
組織の説明すらないから「こいつら何もん?」ってなってしまった渥美しかり。

みな、それぞれの思惑をもってこの事態に挑んでいるのに、その説明がないから、
事態が進行するにつれて彼らがどのような心境でどのように心を変えていったか、が
読めないまま、ただ事実だけを追うことになる。これは、なあ、・・致命的よな。
30分のびてもいいから、せめて宮津の経緯、心境の変化、なんかは丁寧に
描いて欲しかった。せっかく奥さんに原田美枝子をもってきてるんだからさ。
っていうか、寺尾聰と原田美枝子って、「半落ち」夫婦やな。どうでもいいけど。

まあそりゃ、如月の過去ももっと欲しいけど、時間制約があるから仕方がないけどさ。
主要人物誰か一人でも、その人の背景がみれたら、
映画自体の奥行きもだいぶ違ったと思うなあ。

同じ福井氏原作の「戦国自衛隊1549」と比べると、だいぶおもしろく見た。
「ローレライ」は見ていないが、評判を見る限りでは多分それよりも上だろうと思う。
映画としての完成度は決して否定はしないけど、脚本はもっともっと練れたと思う。
惜しいなあ。

役者がさすがの演技を見せてくれて、見応えあり、だった。
日本アカデミー賞主演男優賞4人衆の演技、さすがよね。全員がそれぞれに
描かれていないその人物の背景や歴史までモノにしている気がした。
まあ、そのせいもあって、そして他のそこそこ有名な俳優さん達を
まんべんなく描こうとしたせいで、話が散漫になった気はするが・・・

そんな超豪華メンバーの中でもやっぱり主役としてオーラを放ちまくってる
真田広之はさすがというほかないです。不死身やしさ。
原作の仙石のイメージと彼とは最初合わなかったんだけど、きっちり役作りして
武骨で熱血漢ないいおっさんイメージを作り上げてました。すばらしい。
中井貴一も凄かった。悪役やらせたら今年1番ですなあ。冷たくて冷酷だけど、
また今までたどった人生が垣間見えるようないい演技。
ちょっと日本語はぺらぺらすぎたけど・・・当たり前か。
寺尾聰のなにげない台詞に泣きそうになったし。優しい演技するよなあ。
で、佐藤浩市。出番が少なくて残念。大好きなのにー。でもすばらしい存在感。

あと、主要キャストである如月行を演じていた勝地涼も、いい目をしてました。
まあ、演技派に囲まれてかわいそうだったね。
あとかわいそうといえば女工作員のチェ・ミンソ。なんか日本映画出たからって
韓国ですごくたたかれたらしいのに、出番は少ないわ説明がないから誰か
わからないまま死んじゃうわで、かわいそうよ。苦労して出てるのにさあ・・・

あと個人的には戦闘員やってた安藤政信のキレた演技、
それから原田芳雄の総理大臣も印象に残ってます。
バカそうにみえてすごく賢明だったな。あんな総理いないよなー。

さらには、岸部一徳がツボでした。一人で気抜けキャラ、ええ味出しまくってました。
原作覚えてないので「あんた、誰?」と思いつつ・・。
彼が、国家に憤る佐藤浩市に言った台詞、
「俺は、戦争と戦争のすき間に平和があると思ってる。日本は60年間その隙間にいた。
それでいいじゃないか。」
のほほんと言ったその言葉が案外本質を突いている気がした。

日本は平和ボケと言われてて中井貴一にもそういわれるわけだけど、
ただのほほんと平和のぬるま湯につかって何も考えず生きていくのと、
戦争ではなく、今は平和である、というその状況をしっかり認識して、
平和をかみしめて、平和に向けて努力していくのとは、全然違うと思う。
まあ、自衛隊全面協力の、どっちかと言えば有事法案を応援しちゃうような
映画に見えるけど、「平和に甘んじずに戦争を!」っていう内容じゃないよね。
少なくとも私はそう思いたい。

それにしてもなんでこんなに戦争映画がもてはやされるんだろ。
なんかおかしいよね、最近。いやな感じだ。
私は平和が大好きだ。ぬるま湯につかっていたいよ。

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「亡国のイージス」 2005年 日本 ★★★★★ 良かった! 感動します。 ハリウッド映画のような 制作費何百億円の映画を 期待してはいけません。 あくまで 制作国は「日本」なのですから(笑) これも 原作が あるのでしょうが、未読。 水曜...... [続きを読む]

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